大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和38年(ワ)906号 判決

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

申立

原告

被告は原告に対し金八〇万円及びこれに対する本件訴状送達の翌日以降支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決及び仮執行の宣言

被告

主文同旨の判決

双方の主張

原告

一、原告は、昭和三八年六月一九日訴外三井建設株式会社が被告に対して有する工事代金八〇万円の債権の譲渡を受け、被告は、これを承諾した。

右債権の内容については、被告の主張を援用する。

二、右債権は、被告において保存登記を完了したときは直ちに支払うこととなつていた。被告は、同年九月二一日右保存登記を完了しながら、右債務の弁済をしない。

被告

一、被告は、昭和三八年四月一五日訴外三井建設株式会社と神戸市生田区元町通三丁目九四地上鉄筋三階建延三四坪の店舗兼住宅の建設請負契約を締結した。該契約によると、工事期間は同年四月一四日着工して同年六月末完成、工事代金は金二九〇万円として契約と同時に金一〇〇万円、同年同月三〇日金五〇万円、同年六月五日金四〇万円、金九〇万円は完成引渡のときに支払い、金一〇万円は曩に支払つた仮契約金を以て充当することとした。

二、被告は、同年六月一九日原告及び右訴外会社からの申入により右金九〇万円の内金八〇万円を原告に支払う旨の承諾をした。しかし、右支払は、訴外会社において右工事完成引渡を完了することが条件であること勿論である。

三、ところが、訴外会社は、被告から工事代金のうち金二〇〇万円を受取りながら同年七月三〇日以降工事を進行せず約六分通りの工事をしたまま放置したので、やむなく同年九月二五日右請負契約を解除し、残工事を他の請負人をして完成せしめ、更に建築費一四八万一、二七二円、水道工事金一〇万六、三八〇円、電気工事金七万円を支払つた。

四、被告は、右建物について保存登記をしたことは認めるが、原告主張の如く、登記完了と同時に残代金支払の特約はなかつた。

五、以上のとおりであるから、原告が譲受けたと称する債権は未だ成立していないものであるから被告は原告の請求に応ずることはできない。

証拠(省略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例